医者の友達の忙しい生活。休みが多い俺が「羨ましい」だと?

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久しぶりに旧友から連絡がきた。

彼は10代の頃の地元の友達で、現在は医者として働いている。

大学病院で働いていて、毎日長時間勤務をこなし忙しい毎日を送っているらしい。

朝から夜遅くまで働くことも多く、その後にも病院に泊まって緊急でやってくる患者を診る当直もあるという。

噂どおり激務に耐えているみたいだ。

今はお互いの住んでいるところがだいぶ離れているので、何年も会っていないし、連絡もほとんどなくなっていたのだけれど、夢でなぜか俺がでてきたらしく、気になって連絡したと言っていた。

その夢の中で、俺はどこかの国にいて、友人が旅行で俺を訪ねたらしく、いろいろなところに彼を案内していたらしい。

毎日病院で働いていて外にはなかなか行けない彼に、その夢がずいぶんと刺激的な印象を残したらしく、起きてから連絡してみようと思い立ったのだとか。

俺も夢という仮想現実を通して、彼の人生にちょっとだけ幸せの感覚を与えられていたということか。

それなら忙しい生活をドロップアウトした俺にも少しは存在価値があるのかもしれないなあ、なんて妄想が浮かぶ。

彼に最後に連絡をとったのはいつだったのだろう。

あぁ、俺が海外に出て暮らしてみようと思い立って実行したときだ。

出国するときに彼に連絡をとったのだけれど、そのときは「俺も旅行でいいから海外に行きたいけど、なかなか長期で休みをとれないんだよねぇ」とか言っていた。

そのときの記憶が彼の無意識に働きかけて、夢にでてきたのかもしれない。

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医者は忙しい。休みの多い生活にするのは難しいのか

忙しくて時間がないとか、異性と出会うチャンスも減っているとか、彼の現状をいろいろと聞いていたのだが、驚いたのは彼が俺のことを羨ましいと言ったことだった。

医者、弁護士、会計士といえば、世間でも高ステイタスと評価される難関資格だ。

そのうちの1つを、受験勉強を経て獲得し、医者として働いている彼からそんな言葉がでるとは思わなかった。

確かに俺は週休5日で、彼よりもずいぶんと自分の時間はあるが、給料はと言えば彼の何分の1くらいしかない。

普通に働いている人からみれば、「こんなんで暮らしていけるの?」とか言われるレベルだ。

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世間の人の基準からみれば、頑張って週5日以上働いて、家族を養い、さらに30数年で住宅ローンを返せるくらいのお金を得て、老後が不安にならないくらいの貯蓄もするという「人生設計」なるものをできないとダメな人間みたいで、俺は明らかにそちらに分類される。

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彼はこの基準に適っているし、その基準を大きく上回るお金を将来的には得るんだろう。

婚活パーティーなんかに行けば、女性の標的にされそうなスペックだ。

そんな彼が俺のことを羨ましいといったは、彼にはない「自分のための時間」を俺が豊富に持っているように見えて、そこに焦点があたりすぎていたからかもしれない。

「隣の芝は青い」という言葉があるくらい、他人のものがよく見えるのは良くあること。

他人が持っているものに焦点が当たりすぎて、それ以外のその人間を作っているものが見えづらいからこういうことになるのだけれど。

もし医者の彼が、突然、毎日働く「普通」の生き方をドロップアウトした俺になってしまったら、お金の使い方でまず躓くだろうと思う。

俺の生活費と彼の生活費の水準は違いすぎるし、生活費を一気に10万円以上落とすのはかなり難しいに違いない。

まあ、彼も入れ替わりたいほど本気でうらやましいとは思ってはいないだろうけれど。

医者は収入も多いんだし、何年か働いたら、休んで一時的に無職になることもできそうなのに。

一応、友人も転職エージェントには登録はしているらしくて、情報を少しは仕入れているらしい。

俺もちょっとみたけど、給料のケタが違ってすごい世界だなと思った。

給料だってけっこういいんだから週何回か働くスポットバイトとかして過ごせばいいのに。

マイナビDOCTORなんかで調べるとけっこうあるけどな。

キャリアに傷がつくとか、しがらみでもあるんだろうか。



忙しい医者になった彼が後悔しているかもしれないこと

気づけば1時間を超えて話をしていた。

あまりに医者の彼が「忙しい」と連呼するので、忙しくなるのは医者になる前からわかってるのに何でなったんだよ、と俺は話を聞いていて思ってしまったのだが、その背景には彼が自分の人生を自分で選んではいなかったことがあるのかもしれないなぁと推測するに至った。

医者になる人は親も医者のことが多いが、彼もその例外ではなく親は医者である。

小さい頃から、親の厳しい目の下に医者になるための勉強をさせられ、中学も同じ地域の人が行くような公立の中学ではなく、地元で有名な進学校の私立中学に行った。

ほかにも将来の夢があったらしいが、そんな環境で年齢を重ねるうちに、いつのまにか医者になることが人生の目的になっていた、と前に俺に話してくれたことがある。

話を聞いた限り、親にはあまり反抗もしてこなかったようだ。

こういう過程で、彼のやりたかったことや夢は抑圧されて、無意識の奥にしまいこまれてしまったのかもしれない。

俺の場合は裕福な家庭ではなかったが、けっこう強引に勉強をやらされたし、「いい大学に入って有名企業に就職する」という道を自分の意志ではなく進ませられかけた。

だが、大学に入ってから、いろんな本を読んだり、1人で海外を旅行にしたりして、なんとなく人生とは何なのかを考えているうちに、この道は俺の行きたい道ではないと思い始めて悩んだ挙句、ドロップアウトする運びとなった。

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その後、紆余曲折し、週休3日〜4日の生活を経て、収入は少ないが週に2回程度働いてほぼ週休5日という現在のライフスタイルになっている。

「普通」の人からみたらどうしようもないヤツにみえるかもしれないが、ここまでに至る過程で俺としてはギリギリ主体的に道を選んできたつもりではある。                                                                                                                                                       
自分で選んだからか、人の進んでいる道を羨ましいと思うことは少なくなった。

たとえ、先の友人と人生を入れ替えることができて医者になれるとしても、俺は拒否するだろう。

お金がいくらもらえても、週5以上働かせられて、残業もあって、自分の時間がない生活では、俺は幸せを感じることはできないからだ。

(ただ、超かっこいいやつに生まれて、異性に超絶にモテる人生は1回くらいは送ってみたいが……)

自分の経験をふまえて考えてみると、友人はいろいろと試すこともなく、親が敷いてくれたレールにのってなんとなく医者になったから、自分の今の現状に不満があるのかもしれないなと思った。

おそらく、いろいろ試したうえで、医者という人生の道を歩んでいたら、今の気持ちも違っていただろう。

すでに医者になって働いてしまい毎日が忙しいので、今さら自分の可能性を試すなんてことは、人目を気にする彼にとっては難しいに違いない。

彼の性格とか、失敗したときのリスクを考慮に入れれば、今歩んでいる彼の道は結果として合理的なのだ。

そういう考えに至り、話を聞きながら、「そんなに嫌ならやめちゃいなよ」なんてことは言わず、うんうんと頷いたり同情したり、彼の話を聞くことに努めた。

彼はそういう話の聞き相手がほしかったんだろうと思った。

結局、1時間半くらい電話して話も尽きたようで、「また今度連絡するわ」と言って彼は電話を切った。

今日も彼は忙しく病院の中を駆けずり回っているんだろう。

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