昔、週に数回程度働いていた会社で、部署を統括していた人が突然辞めたことがあった。
俗に言うバックレというやつだ。
仕事に行けば俺もその人をちょくちょく見かけていたので、日に日に笑顔がなくなり表情にも陰りが出てきているのには気づいていた。
なんか嫌なことでもあって機嫌でも悪いのかなぁと思っていたんだけれど、余裕がない証拠だったんだろう。
その人は30代の女性だった。
聞くところによると、毎日、朝から夜遅くまで会社に残って仕事をしていたようだ。
休日も家で終わらない仕事をやっていたとか。
社員が少ないので、それくらいやらないと、どうしても仕事を回せなくなっていたらしい。
仕事全体を回していたのがこの女性だったので、いなくなったら会社としてはけっこう痛いはずだ。
真面目だし責任感はある人だったので、なぜにこうも突然なんだろうと思っていたが、長期にわたって悩みに悩んで辞めることを決めたのかもしれない。
あの笑顔がなくなっていった過程に、俺の知らない様々な苦悩もあったのだろうと思う。
真面目でいい人そうだし、相当に追い詰められていたのだろう。
溜まっていた不満が我慢の限界を超えて爆発したのかもしれない。
ああいう人がバックレをかますのは、そういうパターンのときがほとんどだ。
突然に会社をバックレる人が出るのは、会社にも責任があるはず
俺みたいにたまにしか仕事に来ないやつから見ても、明らかにあの上司にかなりの負担がかかっているのは明らかだったのになぜそこを会社はカバーしなかったのだろうか。
会社の企業理念のところには、「社員を大事にする」みたいなことは書いてあった。
だが今回の件をみても言葉だけで行動が伴っていない。
社会に大きく貢献したいとか上っ面の言葉を並べて言っているわりに、社員が自殺してしまっていた、どこかの外食チェーン店の社長みたいだと思った。
最少の労働力で最高の利益を上げたいのが経営者というものなんだろうけど、それなら経営理念に詐欺みたいなこと書くなよと思う。
まあ経営理念に、うちは社員を部品としか思っていないということを書いたらイメージが悪くなって人も寄り付かないだろうけど、嘘は嘘だ。
この世の中というのは、ああやって嘘をつきまくる人が得をするという理不尽な一面があるのは、経験でわかっているつもりだけれども。
起業のトップリーダーとか言われるような人でも、表面では立派なこと言ってるけど、結局自分だけよければいいんだよね。
それが会社の動かし方をみればアリアリとわかる。
この会社の場合は、あきらかに事業の規模と会社の規模が合ってないことをやっていて、働く人が足りてないのに、仕事をどんどん増やしていった。
経営者として事業を拡大するには、そうやっていかないとだめなのかもしれないが、これじゃあ働く側にとってはあまりに酷だ。
俺は末端のバイトだったので社長とは会ったことがなかったけど、あのやり方を見る限りは社員の言うことを聞かないワンマン体質なんだろうと思った。
ほとんどの場合、どこかの会社で雇われて働くということは、そこの経営者の理想を実現するのに対して自分が奉仕する代わりにお金をもらうという契約のようなものだ。
その経営者に尽くしたいと思うくらいのカリスマ性があるなら、ワンマンぽくっても従業員もついてくるのだろうが、自己啓発本によくあるようなメッキでつけたような立派っぽい言葉を吐く薄っぺらい人ならば、その正体がばれるのは時間の問題だし、結局は有能な人から離れていくのだろう。
万が一、間違ってああいう経営者の下で働くことになった場合、重要な役職だったとしても仕事が嫌で嫌で仕方なくなってしまったら、あの女性のように突然でも会社をバックレてしまうのも、今回の件をみて1つの手だと思ってしまった。
ブラック企業はほとんどの社員を不幸にするだけだから、バックレてでも早く辞めるほうがいいかもしれない
会社をバックレたその女性、その後はどうなったのか知らない。
まあ、バックレは基本的には誰もがしたくてするものではない。
俺も高校生の頃にバイトをバックレたことがある。
仕事をしてみたはいいものの、自分の適正とはかけ離れたものだった。
そして拒否反応がでてきた。
それでもいかなくちゃという気持ちはあった。
考えるに考えて、もう嫌だ何も関わりたくないという気持ちが勝り、そのバイト先をバックレるに至った。
これは俺が自分に合わない仕事をやったのが間違いだったのだろう。
人生の経験値が低かったため、仕事を辞めるということを伝えるのが怖くてそうなってしまった。
現在の俺は、仕事を辞めると表明する経験をいろいろと積んだので、バックレることはなくなっている。
だが無理な仕事量を押し付け、パワハラ満載のブラック企業が相手の場合だったら、俺も追い詰められてバックレるかもしれない。
キャパを超えた仕事をすれば、疲れは溜まり、身体を壊すし、精神も壊すことにつながる。
仕事に真面目な人ほど、自分が壊れてしまうだろう。
ブラック企業を相手にするなら、バックレは自分を守る方法の1つなのかもしれない。
俺はというと、その会社での仕事がつまらないと感じていたし、他に自分の生活の軸となる仕事があったので、実はこの女性がバックレる前におさらばすることを会社に伝えてあった。
俺なんて週数回くらいしか働かないアルバイトだから、会社側はなんとも思わなかっただろうけれど。
今思えば、入れ替わりの激しい会社だった。
なんにせよ、自分の人生においてブラック企業とは、できる限り関わらないほうがいい。
ブラック企業で幸福になれるのは、その経営者と取り巻きの連中だけで、大多数は不幸になるだろう。
不幸をできる限り遠ざけたいというのは誰もが願うことだ。
こういう会社には人が集まらなくなり、仕事が回らなくなって自然と消滅していけばいいのだけれど、依然としてブラック企業が蔓延るのはなぜなんだろう。
働く側が、仕事の見返りの大した報酬もなしに頑張り過ぎてしまうからかもしれない。
バックレるのも怖いなら退職代行を使う
ブラック過ぎて、バックレるのも怖い人は退職代行を使うのも手だ。
退職代行は辞める手続きをすべてやってくれるサービス。
一番面倒なのは、辞めるということを決意をもって伝えることだが、説得されて結局やめられないということもあるかもしれない。
そんな意志の弱い人も、このサービスを使えばやめるのは難しくない。
お金はかかるが、だいたい3万円~5万円程度。
退職金や失業手当も受給資格さえあればちゃんともらえる。
これが高いと思うか安いと思うかはあなたのおかれている状況によるのではないだろうか。
興味がある人はチェックしてみるといいだろう。
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