ここ最近、テレビの番組で貧困女子高生が取り上げられて、
炎上というかいっせいに叩かれたというのがネットでもニュースになっていた。
詳しくは知らないが、部屋がものであふれていて、
そこそこ値段のつくものをいくつか持っていたから
お金あるんじゃねーか、
という感じで批判になっていたということらしい。
この女子高生のことに関しては、
番組をみてないので詳しくはわからないし、
実際、やらせなんかの可能性もあるかもしれないけど、
今回の問題から俺が考えたのは、
視聴者がメディアの情報をどう受け取るかという問題と、
貧困の実態も多様化してるんじゃないかということだ。
メディアの情報は、現実を意図的に切り取ったほんの一部
問題になっていた貧困状態の家庭の女子高生が
1万円くらいするものを持っていたにしても、
誰かにもらったのかもしれないし、
オークションや中古品店で購入したのかもしれないし、
節約を重ねて買ったのかもしれないし、
どういう経緯でこれらのものを手に入れたのかはよくわからない。
一方で番組を作る側は、何分という枠の中で、
一つのトピックを完成させなくてはいけない。
すべてを映すことはできないから、
作り手の意図で情報を切り取ることになる。
こういう短い枠の中では、捨てられる情報も多くなる。
たとえば、この女子高生のことだって、
番組の作り手側は、貧困状態にある子供がいるということをテーマに、
それにそって、あの女子高生を被写体として選び
彼女の生きている時間の中から、
いくつかの場面を切り取っているんだろう。
女子高生とはいえ、人生十数年は生きてるわけだから、
そのうちの何分かを切り取って、放映されただけだ。
一つ番組に映らなかった時間のほうが圧倒的に長い。
番組を見て、その中に切り取られた情報だけを頼りに、
すべてを判断して、この人はどういう人だろうと想像するのは視聴者の勝手だが、
それを下に、映った被写体の人物の情報をネットで調べ上げて本人を特定し、
その情報をネットにかもしたりするのは、
たとえば今回の場合なら、
この女子高生を精神的に傷つけることになるし、
さらに家族も傷つくことになるかもしれない。
その責任をとるならいいが、そうでないのなら、
やりすぎなんじゃないかと思ってしまった。
「貧困」の実態はもっと多様なのでは?
この問題から考えたことはもう一つある。
貧困という言葉が指し示す状態というのは
確固としたこれというものがあるわけでなく、
全く同じ性格の人がいないように、
様々なものがあるのではないかということだ。
貧困というと、
ボロボロの家に住んでいて、
必要最低限のものしかない状態で
カップラーメンを食べるような生活を想像するのだろうか。
または戦後に生まれた世代の人の体験談で出てくるような、
4畳半のすごい狭い部屋で風呂なしの物件にすんでいて、
食費以外にはどうにも手が回らないような状態をイメージする人もいるだろう。
（もし、このレベルなら生活保護をもらうべき状態だと思うが）
しかし、貧困の状況はそんなに画一的なものでもないかもしれない。
昔は、今のような品揃えの豊富な100円ショップはなかっただろうし、
安い衣料品店、それに中古品を取り扱う店も、
今ほど多くなかったのではないか。
今はネットもあって、
オークションサイトやフリマサイトなどもあって、
商品を購入する方法が昔よりもずいぶん多様化している。
安くものを手に入れる方法を選べば、
先ほどの貧困と定義される程度のお金しかもらっていなくとも、
一応必要なものは手に入る。
金ないなら携帯なんか持つなよ、といわれても
携帯なかったら連絡をつけられないし、
仕事もできない。
今は、スマホだって、格安SIMを選んで、スマホ本体も安いものを選べば、
コストはかなり低く抑えられる。
貧困だからといって、
所有物がほとんどない状態というイメージはわかりやすいけれど、
貧困とされる金額くらいの所得しかなくても、
お金の使い方は、個々の人間によって多種多様だ。
食費を重視して他のものを買わない人もいるだろうし、
食費を削って、どうしても好きなものにお金をかけたいっていう人もいるだろう。
そう考えてみると、
一見はそこまで貧乏そうにみえないのかもしれないが、
お金をあまりもっていない人がいるのは想像できる。
貧困といっても、
イメージは一つの固定したものではなく、
人間にいろいろな人がいるのと同じように、
様々な貧困の形があるんじゃあないだろうか。
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