自分がどんな人間なのかわからなければ、どんな仕事が自分に合うのかもわからない。
間違った仕事を選ぶと、仕事がうまくできないので、自分がダメなんだと思うことが多い。
だけれど、それは自分の能力と仕事で求められる能力があっていなかっただけであって、めぐり合わせが悪かっただけなのかもしれない。
自分が好きだと思った異性が思っていたのと全然違ったなんていうことを若い頃は特に経験すると思うけれど、それと同じように仕事だって自分の思っていた仕事とは全然違うことはある。
俺も自分のことがよくわかっていない頃は、合わない仕事をしていた。
今考えれば、なんで数多ある職種の中からそれを選ぶんだと思うが、判断力がなかったのだから仕方ない。
俺も今までいろいろな失敗をしたが、今日は昔バイト選びで失敗した話をしよう。
仕事選びの時点で合う合わないが分からなかった
大学生に入ってしばらく経ち、1人暮らしにも慣れてきた頃、バイトをしようと思った。
友達と遊ぶのに金がかかるし、余裕があるくらいには稼いでおきたい。
そんな中で求人誌を見ていてたまたま見つけたのがデザイナーズレストランのホールスタッフ。
高校生のときに飲食店の厨房でバイトしたことはあったが、ホールスタッフはやったことがなかった。
飲食店のホールスタッフの求人数は多いし、求人紙でもよく見かけるから、アルバイトをやっている人は多いし、自分の周りにもけっこういた。
だから、自分にもできるだろうと勝手にイメージしていた。
この頃は、まだ判断力もなく表面的なものに惹かれてしまうようなミーハー的な思考を持ち合わせていたヤツだったので「デザイナーズ」なんて言葉にも反応してしまったのだ。
だって、デザイナーズだぜ?
なんかオシャレ感あって、友達に言うのにも箔が付くじゃん?
カワイイ子とか働いてそうじゃん?
みたいな浅はかで軽薄な考えで。
求人に応募して面接をして無事合格。
ここまでは問題はなかった。
結果から考えれば、すでに問題の種を自分で蒔いていたのだけれど。
俺が飲食店のホールスタッフの仕事に合うわけない
店舗は二階建てで比較的大きく、夜の時間にホールだけで、10人くらいはいただろうか。
それくらいの人数でイヤフォンみたいなのを耳につけ無線を通じて意思疎通をすることになる。
俺は、大人数のグループとか苦手なんだけれど、まだこの時は苦手だということ自体をはっきり自覚できていなかった。
なんか居心地悪いなー、程度で、そういう感じかたをするのは、たまたまだと思っていた。
初日から、仕事のトレーニングが始まる
ん~、覚えが悪い。
今から考えれば、俺は接客なんて苦手だ。
提供する料理を運びながらも、他の客に呼ばれたり、同時にいくつも仕事をこなさなければいけないが、俺はこういうマルチタスクは得意ではない。
人に気を利かせるのだってうまくない。
毎日、同じ場所にいって同じことをするのだって好きではない。
それなのにもかかわらず、この時は合っていない仕事をしていることにまだ気づいていなかった。
おかげで効率も悪いし、それを自分で気にしてしまって、ミスしないようにとか仕事にやたら憶病になるし。
なんてバカだったんだろう。
合わない仕事、飲食店のアルバイトでやった失敗
好きなことを仕事にしていても失敗はするが、自分に合わない仕事をすればその確率は上がる。
あるとき、俺は注文された商品を提供する際に、テーブルにあった醤油をこぼしてしまった。
その醤油は、テーブルをつたって、客の服にもかかってしまう。
うわぁ~ヤバい!どうしよう!
「申し訳ありません !」とか何回言ったかわからないが、「クリーニングかけますので」とか勝手に口走ってしまった。
頭はパニックだったが、すぐにおしぼりを取りに帰り、社員に報告。
社員は明らかにムカっとして、何やってんだみたいな感じだったが、客の対応に向かう。
俺は、テーブルを拭くのと謝るので精一杯だった。
一方で、冷静な視点もあって、「もうやっちまったししょうがないよな~、この後どうやって振舞おうかな~」とか頭の中では考えていた。
社員がどうにか収めたみたいで、とりあえず、その日はどうにかなった。
後で、その社員にバックヤードで「なんでクリーニングなんていうんだよ!」みたいな感じで問い詰められた。
あれはその場を収めるのに咄嗟にでた言葉だったけれど、そのときはそんなことは言わず「すいません」ととりあえず謝り続けていた。
「仕事も遅いのに、さらにミスもしやがって」なんてその社員も心の中では思っていただろう。
こんな事件を起こしたので、仕事いきたくない度がさらに高まる結果となった。
ミスはするし、俺は全然仕事を覚えるスピードも遅いし、やる気もなくなっていって、バイトに行くのが嫌で嫌で仕方なくなっていた。
秋頃に入ってテスト前のときに、「勉強があるのでしばらく休みます」といったまま、そのまま連絡をしなかった。
向こうも使えないやつだったしもういらないと思っていたんだろう。
それ以降、連絡は来なかった。
好きでもない嫌な仕事をしていると、毎日仕事のことを思い出しては行きたくないーとかいう嫌な気持ちを心に毎日貯めていくことになる。
仕事場にいっても、合わない仕事をしているわけだから、失敗しやすいし、それによって自信もなくなり、失敗することにも怯えるようになる。
こんな状態はすでに負のループになっているので、こうなったらできる限り早く辞めたほうがいい。
日に日に、自分が落ちていくだけだ。
この仕事をやって学んだのはそういうこと。
飲食業界の仕事は合わない人には地獄
この仕事以降、俺は飲食業界で働くのを辞めた。
合わないことをやると、自分も精神的にも身体的にもキツイし、周りにも迷惑になる。
合わないことをやっていて仕事ができなくても、溶けこめるユルい環境があるなら、なんとかやっていけるかもしれないが、そんな職場はブラック企業の巣窟である日本の飲食業界ではほとんどないだろう。
ウェイターやウェイトレスの仕事は求人数が多いから誰でもできる仕事なんだろう、なんて思う人もいるかもしれないが、合わない人には本当に合わない。
特に、同時にいろいろやるのが苦手な人、グループワークが苦手な人、人に気を使うのが苦手な人はやらないほうがいいと思う。
そういう人が飲食店のホールスタッフをやっても、仕事はできないし、周りからも蔑まれるし、自信はなくなるし、いいことはない。
さっさと他の職種で自分に合う仕事を見つけたほうがいい。
俺も他にもいろいろと仕事をした。
その中で自分に合う仕事は見つかった。
たとえば、その1つが掃除の仕事だったのだが、圧倒的に自然に働けた。
しかも俺がやった掃除の仕事は時給があのレストランよりも高かった。
俺は他にも、ちょっと変わった仕事をいくつもしたが、飲食店の仕事より自分に合う仕事はいくつもあった。
この世には、仕事の種類は山ほどある。
良く目にするからといって、それが自分に合う仕事だとは限らない。
自分が、大多数の側にいないと感じている少数派の人たちには特にそうだ。
自分が少数派にいることを自覚して、自分に合う仕事も数ある仕事のうち、ほんのわずかなものなのだと考えよう。
そうすれば、間違った仕事を選んでしまったときに、そんなに落ち込むことがなくなるだろう。
だってそれは、自分に合わなかっただけなんだから。
質問や悩み相談したい人