「俺、前までニートだったんですよ~」
そんな男性にこの間たまたま飲み屋で出会った。
彼は今20代後半くらいだ。
以前は5年くらい引きこもってニートをしていたらしい。
今は会社で働いているのだという。
完全ニート状態から会社員という違う世界に一気に入った彼。
現在に至るまでの過程に何があったのか。
今日は彼について書いてみよう。
10代後半で引きこもりニートになった経緯
彼が引きこもり始めたのは、大学受験のときだった。
受験前に身体を壊したのをきっかけに、受験に失敗。
進学校に在籍していたため、周りが偏差値の高い大学に続々と合格する中で、自分との差に愕然とし、そのまま引きこもりとなったようだ。
そのときの記憶はあまりなくて、ほぼずっと家にいてゲームをやっていたくらいしか覚えていないらしい。
同じころ、高校の友達は大学生活を謳歌していた。
「リア充」には会いたくないので、友人とは疎遠になっていく。
それで友人と言える人はほぼいなくなった。
5年以上の引きこもりニート期間に訪れた変化のきっかけ
ある日、親に「もう何も言わないから、好きなようにしなさい」と言われた。
この言葉はじわじわと彼に影響し、いろいろ考えさせたらしい。
さらに、疎遠になっていた昔の友人が大学を卒業して就職してから、彼を食事に誘ってくれたことがあったようだ。
もう何年も会ってない友人たちだったが、彼らは優しく接してくれて、お金もたいして持っていない彼におごってくれたのだという。
こういう出来事が彼の内面にゆっくりと変化を起こすこととなる。
家で一人で資格の勉強を開始した理由
そんなことがあった中で、自分を見つめなおすことも多くなる。
とりあえず、少しでもお金を稼ぐために何かしら職に就こうと思ったらしい。
しかし引きこもっていたため経験も何も持っていないと思った彼は、資格の勉強をしようと思ったのだという。
だからといって、何か学ぶのに学校に行って挫折も知らない18歳達といっしょにすごすのは気分的にもツラい。
なので彼はネットの通信教育講座を使った。
今はヒューマンアカデミーをはじめ、様々な方法で学べる通信講座があるから、家でも様々なことが学べる。
それからの1年と少しで5つくらい資格を取った。
その中の1つの資格を元にちょっと前に仕事に就いた。
今は週に5日、不動産会社で働いている。
「自分はコミュニケーション苦手で、ニート気質なんですよ~」なんていう彼だが、現在は俺と話していてもそんな感じはしなかった。
たしかに、超明るくて営業にバリバリ向いてますみたいな感じではないが、控えめだけど俺には距離感がちょうどよかった。
コミュニケーションというのは、テレビとかで上手く話していたりする人が高いとされるけど、実はその方法は多種多様で、人の真似なんかせずに自分なりの意思疎通のやり方をつかめれば、この世を渡っていけるくらいにはなるのかもしれない。
引きこもりニートから脱出し、これから何がしたいのか
引きこもりニートから仕事を開始した彼だが、これから何がしたいのか。
「僕、ちょっと他にも資格をとって独立したいんですよ~」
今の仕事をしながらお金を少し貯めて、会社を辞めるか仕事を減らしてもらって、資格の勉強をやっていくつもりなのだと言う。
やはり会社という組織で働くのには少し違和感があるようだ。
やりたいことがあることで、やはり人は生命力みたいなものがでてくるのだろうか。
前は生きていてもつまらなかったらしいが、今はなんとなく生きててもいいかなと思っているという。
ニート気質でも会社で働くことができる場合もある
引きこもってしまう人でも、会社で働けるくらいのコミュニケーション能力がある人は意外といるようだ。
今日紹介した彼の場合は、他人との差に愕然として完全に自信を失っていただけだったのかもしれない。
それで生きる気力を失っていた。
たとえ、他の人とのある基準で比べて差があったとしても、違う道で生きていくことはできる。
彼の場合は、一度ドロップアウトした後、資格をとることで、また働く生活にもどることで自信を取り戻した。
自分に合う道を見つけられれば、資格勉強でもなんでも生きる気力を取り戻せるのだろう。
自分の性格とこの世界をいかにすり合わせていくのか。
それは自分自身でしか答えが出せないような問題だ。
会社で働くのが合う人もいるし、自分で何かやるのが合う人もいる。
彼には彼の道があり、私たちにも私たちなりの道があるのだろう。
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