「一人旅なんてよくできるね」
なんてことを言う人がいた。
俺からすれば、
「よく誰かと旅行なんてできるなぁ」
という感じだ。
たしかに複数の人と旅行すれば、一緒に同じ場所を体感できて、それをネタにワイワイと会話を楽しむことができる。
何かを食べに行ったにしても、グループで一緒に食べれば、メニューの中からいくつも注文分け合えるし、「おいしぃー!」とか感想を言い合いながら、賑やかな時間を過ごすことができる。
しかし、そういう楽しみを差し置いて、俺があえて一人で旅をするのは、そこに圧倒的な自由があるからである。
一人なら、自分で行きたいところにいけるし、同じ場所に何時間いるのも自分次第だし、食事だって自分の好きなところにいけるし、泊まる場所だって、他人に気を使って決める必要もない。
もともとなのか、後天的に身についたものなのかわからないが、1人で行動することのほうが自然な自分にとっては、誰かと一緒に行くことで得られる「共感」よりも自由さとか気楽さのほうが、旅の充実度を上げることに繋がるのだ。
誰かと旅行するのが好きな人にとっては、俺みたいなのはただのワガママ野郎になりかねないので、一緒に旅するのは避けたほうがいいのは間違いない。
一人旅が好きな理由と醍醐味。ドロップアウトに繋がる資質とは
友達と旅行したことも幾度かあるが、どこに行っても何かと気をつかってしまって、いい旅をしたなぁと思えた経験がない。
友達と行けば自然と会話をすることになるのだけれど、俺は器用な人間ではないからか、しゃべっていれば、その場を感じる感覚が鈍くなる。
だからなのか、一人でいったときと比べて、見に行ったところがサラりと流れてしまう感じになってしまって、すごくいい景色の場所に行ってもその場に自分が浸りこむことができないのだ。
一方で、一人の場合は、できるだけ周りに人がいないところにいって、その景色を静かに長い時間みていると、自分の意識が薄くなって、まるでその場と同化しているような感覚に浸れるときがある。
こういうとき、不思議と「なんかいいなぁ」という、ふんわりとした幸福感を感じることができたりする。
いい旅だったと思えるときには、俺は旅にこういう体験をいくつもしていることが多い。
これは一人旅にしかできない醍醐味の一つだろう。
今までの経験だと、この一人旅の醍醐味からくる幸福感は他の人と一緒にいるとどうしても得られないのだ。
こういった一人で静かにじっくりと何かを感じたいというのも、集団を逸脱しないとできないことだし、ドロップアウトに繋がっていく一つの資質だったのかもしれないと思う。
一人旅をしていなかったら、俺は今頃、都会の片隅でスーツを着て、会社にいきたくねぇ~とかいいながらも、毎朝満員電車で通勤して、仕事帰りには酒を飲んで愚痴をこぼしていたかもしれない。
俺の人生に、一人旅で放浪したことは大きく影響している。
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